気になる革ジャンやレザージャケットの革の臭いについて

今回は革の臭いについて投稿したいと思います。

実は、前々回と前回のニチワレリュームブログにて、革のクリーニング方法や収納方法等を書いた反響からなのか、ここ最近様々なご質問メールが寄せられてきています。

そんな多くの質問の中で、この様な内容の質問がありました。

ニチワレリューム様へ。クリーニング方法などのブログ記事大変参考にさせていただいております。さて今回の質問ですが、昨年末にネット購入したラムの革ジャンの臭いが気になり、年明けに購入店へ相談したところ、店の方からしばらくすれば気にならなくなると言われましたが、購入してから4カ月ほど経った今でも臭いがある状態です。そろそろ収納の時期ですが、このまま収納して臭いはなくなりますでしょうか。ニチワレリュームさんの商品ではないので申し訳ございませんが、よろしければアドバイスをお願いします。」

ニチワレリューム革ジャンじゃなくても全然問題ございませんよ。

それでは革の臭いを解説していきましょう。

革の臭いの説明をする前に、私たちが革と呼んでいるものは真皮と呼ばれる部分で、コラーゲンタンパク質の繊維なのですが、この繊維の3次元的に複雑に絡み合った部分を、革と呼んでいます。

実はこのコラーゲンの繊維自体は臭いがなく無臭なのですが、それでは「革の臭」いと呼んでいる物の正体はなんなのか?

革を作るというのは、このコラーゲンの繊維の1本1本に「鞣し剤」や「加脂剤」、「防腐剤」などの薬品を結合させる行為ともいえます。
更に縫製時に使用する「接着剤」なども加わり、これら薬品の臭いが多少残った物が、私たちが感じる「革の臭い」となります。

ただ、これらの原因物質はいつまでも革に残るものではありません。

臭いには個人差があり、原因を明らかにすることは非常に難しい事ですが、そのほとんどは通気のよい場所に置くことで臭いは感じなくなって来ます。

臭いは密閉した洋服ダンスなどに保管していた場合に臭いがこもり、明けた時に強く感じられることが多いようです。また、湿度が高くなると、臭いの発生が大きくなるという試験結果も報告されています。

どうしても気になる場合は消臭剤(化学反応によって悪臭成分を分解または性質を変えて悪臭を消す物などがある。)や活性炭などの脱臭剤とともに保管する方法がおすすめです。

ただし消臭剤によっては、薬品の影響で革の劣化や変退色を生じる物も存在しますので、注意書きを確認するか、薬品に近すぎずに収納することが大事になります。

以上、革の臭いは革その物ではなく、薬品や鞣し剤などによる臭いであり、きちんとした保管方法さえすればある程度は消えてくれるというのがご質問に対する回答となります。

従いまして、今回お客様が購入したお店の方のご説明は、結論から言えば正しい説明といえるでしょう。

ただし革の臭いがある程度なくなるのには平均1シーズン程度かかりますので、「しばらくすれば気にならなくなる」と伝えず、大凡ですが1シーズン程度と説明した方が分かり易かったのかもしれません。

また、革の品質によっては臭いがきつく残る革も存在しますし、品質がよくても、ベジタブルやアニリン仕上げなどといった革ジャンの加工方法によっても臭いの付き方が違います。

更に同じ臭いでも個人差によって、それが気になる人と、気にならない人との差もありますので、気になる方は、お店で商品の臭いを確かめたり、ネットの場合は購入前に問い合わせをした方が宜しいかもしれません。

今回は革ジャンレザージャケットの革の臭いについて書いてみました。

これ以外にも様々なご質問を頂戴していますので、今後も当ブログにて回答していければと考えております。

GW明けの今週は企画作業の追い込み真っ最中。

いよいよ本発注に向けて今週日曜日に韓国入り。

韓国行きまでの数日間、まだまだ忙しい日が続きます。

 

コメント

  1. なめし工場niha より:

    革の匂いではなく、なめし工場の廃液(なまぐささのまじったような強烈なにおい)のようなにおいでこまっている人が多いのではないか?
    中国製の竹製敷物からにおうような。

    1. nichiwa より:

      ご返信が遅くなりまして申し訳ございません。おそらく革の鞣しにお詳しい方だと察します。
      工場廃液の強烈な臭いは、鞣しに使用した化学薬品の廃液ですから、この臭いに困っているのでは?とのご意見は、まさに仰るとおりです。
      ブログでは、革の臭い自体は無臭で、薬品やその他の原因でおきる臭いの可能性として書かせていただきました。
      薬品による臭い以外にも、革の個体差、質、鞣し方法、また脱脂が不十分による臭い等もございますが、このブログでご質問のお客様につきましては、お話を聞く限り薬品臭の可能性が高かったので、この様な投稿記事になっております。
      ご指摘の様に、本来でしたら薬品集や廃液等の臭いと書くのが適切かもしれませんが、お客様全てが革にお詳しいわけではございません。
      そのため、革自体から発する廃液臭や薬品の臭い=革の臭いとご指摘を受けるのが一般的ですので、革の臭いという括りで投稿した事をご理解いただければと思います。

コメントを残す

*

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)